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2008年9月18日木曜日

初めてのヒッチハイク

場所はクロアチアのザダル(Zadar)。海岸沿いの道へ続くザダルの町の
出口で始めた。ホワイトボードに書かれた町の名はスプリット(Split)。
距離にしてたったの169km程度だが、本当にヒッチハイクできるのか
半信半疑だ。

朝9時に宿を出て、決めたポイントまで2時間ほど歩いて移動する。
歩きながら「今日の午後、自分はいったいどこにいるのだろうか」と
高まる期待と不安を心に抱いていた。失敗すればもう一泊ザダルに
泊まるだけなので問題ない。バスも1日に何本か出ていて、100クーナ
(2200円)でスプリットまで行ける。今日失敗すれば、明日バスで移動
するだけだ。問題ない。

よく晴れた、雲ひとつ無い青空の中、左手にホワイトボードを持ち、
右腕を横にまっすぐ伸ばして、親指を上に立てる。オーソドックスな
ヒッチハイカースタイルだ。ただ、初めてなのでぎこちなく感じ、
ちゃんとヒッチハイカーに見えているのか不安だ。

33歳男、初めてのヒッチハイクを開始。

5分過ぎた、当然誰も止まらない。格好はなんとか出来上がったが心が
まだ付いてきていなかった。照れがあり、車の中のドライバーを
見ることが出来ず、遠くを眺めていた。そんな感じで15分ほど
過ぎた時、反対車線の車から20歳ぐらいの男2人が「がんばれよ~」
と応援をくれた。自分の行動に対して実際になんらかの反応があった事で、
心の不安が少し晴れ、車の中のドライバーを1台1台見れるようになった。

ドライバーを見ていると面白いものだ。大半は知らない顔で
通り過ぎていくが、5分~10分に1度ぐらいなんらかの反応をくれる
ドライバーがいる。「自分は近くまでしか行かない」とか、
「がんばれ」とか「ピース」とか、そんなジェスチャーが多くかったが、
時々、理解不能な物もあった。理解できないジェスチャーは時折
不安を増幅させる。「俺は何か間違った事をしているのじゃないか」と。
でも、アイコンタクトをドライバーとし始めた事によって、単純に
突っ立っているだけとは違う、ヒッチハイクをしているんだという
実感が生まれてきた。

2時間が経過したが誰も止まらない。晴天で直射日光が降り注ぐが、
気温は18℃ぐらいでそよ風が吹き、暑くもなく、寒くもない。
ふと「スプリットは遠すぎるのか?」という疑問が出てきた。
試しにホワイトボードのスプリットの文字の下に、中継の町である
シベニック(Sibenik)と書いてみる。

再開して30分、止まった。車が止まった。ファンキーな兄ちゃんが
俺を呼んでいる。喜び勇んで車へ駆け寄る。兄ちゃんはシベニックへ
行くという。当然乗せてもらった。

初ヒッチハイク成功。

兄ちゃんはガソリンスタンドのチェーン店に雇われていて、配管工
をしているらしい。ザグレブからドブロブニクまでのスタンドを
担当しているそうだ。週に3回ほど南方面へ出張があって、この日も
ザダルとシベニックの先にあるプリモシュトン(Primoston)の2箇所で
作業があるんだとか。

荷物を詰め込み、ザダルからプリモシュトンまでのコースとラインを
進んでいく。たった100kmぐらいの道だが、景色はとても美しい。
またここへ来る機会があれば、次は必ずレンタカーを借りるだろうな。

兄ちゃんとは英語で会話した。高校で習った程度というが、十分に
意思疎通ができる。道中、多少のクロアチア語を教えてもらった。
「ズトラボ」「ドバルダン」「クワッラ」「ドブロドショウ」。
いきなり言葉を覚えるというのは難しい。聞いたことない言語なら
発音も一緒に覚えなければいけないので、特に覚えにくい。
兄ちゃんの指導のおかげで上記4つは確実に暗記できた。

兄ちゃんはオートバイが趣味で川崎のオートバイを持っている。
正に愛車みたいで、キッチンに置いている写真を何枚も見せてくれた。
そして、紙とペンを出してきて、「川崎」って書いてとお願い
されたので、汚い字だが「川崎」と大きく書き、「かわさき」と
振り仮名を添えた。バイクは7歳から乗っていてこれまで合計で
20本の骨を折ったと言っていた。

途中でランチに寄った際、豆スープにヌードルとウィンナーが一本
入った料理をご馳走してくれた。私が貧相に見えてるのか、気に入って
もらえたのかわからないが、久々の温かい料理だったのでありがたく頂いた。
「これ食べるとオナラがすごいんだけど、体に良いんだよ」と教えて
くれていたが、本当に夕方からオナラが連発で出たので、正直、
次からは違うものを注文せねば。。。。ヒッチハイカーにオナラは
厳しい。。。

15時に目的地のプレモシュトンに着くと兄ちゃんが「ビール飲もうぜ」
と誘ってくれ、1杯飲む事になった。兄ちゃんの知り合いが2人集まって
きて3人でクロアチア語で喋ってる。500mlをお喋りしながら1時間ほど
かけて飲んでいた。全然会話に参加できないが、初めてこちらの人と
飲んだので、雰囲気は存分に楽しむ事ができた。

ふと、兄ちゃんがサッカーくじを買ってきたので見せてもらうと、
いくつか知っているチームが書かれていた。サッカーも新しい
シーズンが始まったんだなぁ、と自分の勝ち負け予想と比べながら
見ていると、いつの間にか3人はいなくなっていて、兄ちゃんの
タバコと車の鍵と財布がテーブルの上に残っていた。そして、
10分、15分しても戻ってこない。そろそろ次のヒッチを始めたい
ところだが、一人ポツリと兄ちゃんが帰ってくるのを待っていた。

1時間ほどして兄ちゃんが帰ってきた。仕事をしに行ってたらしい。
超マイペースだ。17時になり、日も傾き始めたので、そろそろ出発
しようとすると、兄ちゃんが「もう1杯飲もうぜ」と誘ってきた。
当然飲む。こんなにおごってもらって良いんだろうか。結局、
18時まで一緒に飲み、初めてのヒッチハイクが終わった。

I love Croatia.

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

いい旅してるなぁ…ホントに。
いつかオレも…。。。

匿名 さんのコメント...

ジュン君、まるで映画の世界やん! すごいなあ。ヒッチハイクはヨーロッパでは大丈夫やねんね。オレゴンでは駄目みたいやったけど、国によってちがうんやね。「川崎って書いて」って(笑)なんか素朴でいいな!^^
向こうの人は、結構自分の名前とかも漢字に直して教えてあげたら喜ぶやんね。でも、カタカナを漢字に変換してあげるのって結構難しいよね。ほとんど当て字になってしまうけど(笑) オレゴンでの私の移動中での想い出は、高速で居眠り運転をしてしまったことと、友達を車で家まで送っていった帰りに、道に迷ってワシントン州まで出てしまったことくらいやなぁ。ジュンみたいなアドベンチャーも、楽しそうやなぁ!!!ほんまに、映画を観てるみたいな旅やね^^気をつけて、楽しんでくださいね。

ジュン さんのコメント...

hyuga09さん

いい旅してるよ、本当に。
なんでもやってみるもんだね。


ジュリジュリ子さん

映画とは大げさなw
でも、ずっとやってみたかったので、すっきりした。

居眠り運転はシャレにならんなぁ。ジュリ子さんの運転する車は怖そう。常にスペシャルアドベンチャー(笑