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2008年10月18日土曜日

ブラショフ(Brasov)の駅で夜を過ごしてみた

20時のブラショフの駅にはたくさんのホームレスの人達が見いる。
駅は24時間オープンで、寒くなってきたこの時期はホームレスにとって
家となるようだ。ここで私が心の中に飼っている偏屈虫が出てきて、
駅で夜を明かしてみてはどうかと言う。当然逆らわず、駅で夜を明かす
事に決定した。駅の中を歩いていると、ベンチはほとんどホームレスに
占拠されていて、座れる場所は限られる。

1席かろうじて空いているベンチがあり、そこに座ってみた。隣には
ホームレスが寝ている。外は息が真っ白になるほど寒い。こんなに
寒いのはヨーロッパに来てから初めてだ。それほど寒いので、
この駅には多分ブラショフ中のホームレスが集まっているのでは
ないかと思う。しかし、危険さはというと、それほど怖い感じではない。
警官が歩き回っているし、電車が夜中も行き来しているため、一般客も
常に何人かうろうろとしている。

送信者 around_brasov_and_sighisoara



座りながら、辺りを観察していると、突然警官が隣に寝ていたホームレスを
叩き始めた。起こすという類ではなく、明らかに強く叩いている。
「ホームレスに対する暴行か!?」とビックリしていると、警官は
ホームレスをベンチから引きずり降ろし、少し離れた場所に立たせた。
ホームレスが寝ていた場所を見ると、大量の液体がベンチに溜まっている。
寝小便をしていたらしい。警官はホームレスに外に行くように指示している
様子で、ホームレスもそれに従い、外に出て行った。

3つ隣にあるベンチに溜まった小便は多少気になったが、他に座るベンチは
無さそうなので、引き続き同じ場所に座り続けた。当然、すぐにホームレスが
寝ていた場所に座る人はいなかったが、しばらくすると、2歳ぐらいの子供の
オムツを変えようとして、小便が溜まっている事に気がつかずに子供を
寝そべらせようとする女性がいたので、さすがに止めた。女性は小便の
溜まっていない私の隣のベンチでオムツを変えて、どこかへ行った。

またしばらくすると、今度はホームレスが座りにやって来た。小便に
気がつき、どうするのだろうと見ていたら、素手でバシャバシャと
小便を払いのけている。最近いろいろな事に耐性がついてきて、何事
にもあまりギョッとする事も無くなっていたが、今回は久々に驚いた。
小便を払いのけた後、何事も無かったかのようにそこへ座る。これを機に、
他のホームレスが2人3人と集まってくる。そして、それに伴い、私は
押しのけられ、他に座れそうな場所を探す必要がでてきた。

ベンチはホームレスばかりで座れそうな場所はなかったので、通路の
脇に腰を少しだけかけられそうな場所を見つけ、そこに荷物を置いて
時間を過ごす事にした。ここは駅の2階部分で、全体を眺められる。

夜が更けてきて目立つのは、意味も無く駅をぐるぐると回っている
若い人達。この若い人達は2種類に分けられる。1つは寝ている人を
チェックしている若者。これは多分、隙があれば荷物を盗むつもりで
いるのだろうと思う。完全な憶測であるが他に考えられない。
もう1つはシンナーを吸っている若者。匂いから昔ガンプラを作った
のを思い出す。彼らはビニール袋を持ち、その中には液体が入っている。
彼らは全く隠す様子もなくシンナーを吸っている。吸う瞬間は一応
隠す素振りはするが、一目瞭然で、あまり隠している意味が無い。
そして、警官は捕まえたりする様子も無く、若者の前を通り過ぎていく。

荷物を抱えながら眠っていると、警官に起こされた。寝るな、という
わけではなく、荷物に十分に気をつけるようにと注意され、寝ない方が
身のためだよとアドバイスをしてくれた。この後、眠気に耐え切れず
合計2時間ほど寝ていたと思うが、運良く荷物を盗られる事は無かった。

夜が明けると、一般人が増えてきて、怪しい雰囲気は無くなって
しまった。ホームレスは多分ここ最近の急激なインフレに対応しきれ
なかった人達がほとんどなのじゃないかと思われる。12年前に
ルーマニアのこの辺りを旅行した人の日記を見てみると、ピザが
60円、ホテルが2000円程度だったらしいので、物価は軽く3倍には
なっている。

日本も色々と経験したが、ルーマニアは今、正に変化の真っ只中に
いる。EUに仲間入りして、明るい未来が見えているかのようだが、
変化に対応しきれない人達には相当な辛い未来となるだろう。

一つ不思議だったのは、たくさんのホームレスが酒臭かった事。他の
国でよく耳にした事だが、国から出る生活保護のお金をお酒に変えて
いるのだろうか?

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