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2008年10月10日金曜日

コソボからセルビアへ

「コソボからセルビアへ抜けるには、一度セルビアからコソボへ
入っている必要がある。パスポートにセルビアのスタンプが無く、
コソボのスタンプしか存在しないのであればコソボからセルビアに
入る事はできない。」これが私が旅の途中で何度か聞いてきた
事である。私はまだ一度もセルビア入りした事が無い。それは、
これからもしプリシュティナからセルビアへ入ろうとすれば、
入国拒否されるという事になる。

プリシュティナ発、ベオグラード行き19ユーロ。ちょっと
試しに行ってみるには少し高い。本当はソフィアに行きたいが、
プリシュティナからはソフィアへのバスは出ていないようだ。

以前にある日本人からセルビアの地図を見せてもらったのを、
写真に収めたのを思い出し、もう少し近場に行けそうな所が
無いのか確認してみる。すると、1ヵ所ヒットした。ノヴィ・
パザル(Novi Pazar)という町。どんな場所かはわからないが、
7.50ユーロで行けるので、入国拒否されてもさほど痛くはない。

コソボ国境。軍隊による警備が物々しい。目で確認できる
だけでも、イギリス、イタリアの軍から10人程度、UNの
マークの入ったバスの中にも5人程度の兵士が見られる。
皆マシンガンのような銃を装備して何かに備えているが、
見た感じとても暇そうだ。やはり、セルビアの一部勢力に
備えての一応の警備なのだろう。

コソボを出国して直にセルビア入国のチェックかと思えば、
400~500mぐらい離れていた。他のコソボ-セルビア間も
こんなに間を空けているのだろうか?これまでは100mぐらい
しか空いていなかったが。

さて、問題の入国審査。国境警備員がバスに入ってくる。
私以外は皆セルビア人かコソボ人かどちらかのようで、
パスポートを見せる人は1人もいない。いよいよ私の番。
国境警備員にパスポートを渡すと、パラパラと中身を
チェックし始める。何か聞いてくるが彼は英語が話せないので
理解し合えない。すると、パスポートを持って降りていった。
2分ほどしてバスが出発する。バスの助手がパスポートを
持ってきて私に渡す。国境。。。通れたらしい。

入国拒否は?荷物検査は?何も無いのか?

私の期待を裏切り、バスはセルビアに入る。そして、目的地の
ノビ・パザルへ到着し、降ろされる。さて、どうするのか?
ノビ・パザルという町は3時間前まで知らなかった町であり、
地球の歩き方のような旅行ガイドも無い。情報が何も無い。
ツーリストインフォを探してみたが無い。英語を話せる人を
探してみたがいない。仕方がないので、ここで何かをするのは
諦めて、ベオグラードへ行くことに決めた。

ベオグラードへは1100ディナール(約1900円)。一応ユーロも
使えるらしいが、手持ちのお金は10ユーロ程度でどの道
足りないので、ATMへお金を下ろしに行く。すると、ATMは
あったが、どういう訳か使えない。画面がブラックなままだ。
銀行は空いていたので中に入ってみるが、ジェスチャーで
今日はやってない、エクスチェンジも出来ないと言われる。
腑に落ちないので、銀行の回りをうろちょろしていたら、
スーツを着た体格の良い警備員がやってきたので、「お金を
下ろしたいんだ!」と訴えると、「町全体が停電になっていて、
18時に回復する予定だよ。」とジェスチャーで教えてくれた。
今が13時なので、5時間後か。。。ならば仕方がないので、
少し観光してみることに。

送信者 kosovo_to_belgrade
送信者 kosovo_to_belgrade

弊害が多々ある事に気づかされる。まず、荷物を預ける場所が
無いので、重い荷物を背負ったままの移動となり、行動範囲が
限られる。ほとんど誰も英語を話せないので、現地の人と
会話を楽しむ事もできない。人もそれほど、というかまったく
フレンドリーじゃない。これが、観光地ではない普通の町なの
かもしれない。それとも、停電のせいで人間自体も暗くなって
いるのだろうか。

ナビ・パザルという町のアクセスは凄く良い様で、ここからは
ベオグラードへ朝から晩まで1日10本ほど走っているし、
国際線もボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボ、モンテネグロの
ポドゴリッツァ、マケドニアのスコーピアへ毎日バスが出て
いるようだ。あと、ソフィアやイスタンブールやザグレブへも
週に何度かバスがあるらしい。そういや、ユーロラインズの
ロゴを付けたバスも見かけたなぁ。

結局、観光は2時間で終了。何故か宝石を売っている店をたくさん
見かけた。何もする事が無く凄く凄く暇なので、ATMの前へ行って
ブログネタを書きながら停電からの回復を待つことにした。

18時。。。電気はやって来ない。。。事前に調べたバスの時間
だと、18:15の次は23:30と5時間以上も間が空く。さすがにもう
電気は待っていられないので、得意の交渉をしてみる事に。
バスのドライバーを相手にホワイトボードを持ち出し、「お金が
足りない。停電でATMが使えない。」と伝えた時点でオフィスに
行ってくれという事に。本当はお金の支払いをベオグラードで
行いたいと言いたいのだが、それ以上聞く耳を持ってくれなかった。
そして無情にも、18:15のバスは行ってしまった。

この時点でハッと気がついた。ヒッチすればよかったのに。
十分な時間があったよね。。。

18:30、停電から回復しない町は暗かった。バスのチケット売り場では
ロウソクを一本立てて運営していた。これは写真に収めなければと、
カメラを構えた瞬間、停電から回復した。町は途端に明かりを取り戻し、
全て元通り。

送信者 kosovo_to_belgrade
送信者 kosovo_to_belgrade

ATMは問題なく動作し、金を下ろす事ができた。これで何でも買える。
さて、23:30までの暇つぶしに何をするか。残念ながら、ノートの
バッテリーは終わってしまったので、何か他の楽しみを見つけな
ければ。バスターミナルの周辺を歩いていると、カフェを発見。
ここで、今日の不遇な一日を祝い、不貞寝ならぬ不貞スウィーツを
する事に。2つのケーキとコーヒーをオーダーしたところ、
これが甘い。いつもなら大歓迎だが、病み上がりであることを
忘れていた。1つ目を平らげた後、2つ目は3時間使い、本を読みながら
ゆっくりと頂いた。

送信者 kosovo_to_belgrade
送信者 kosovo_to_belgrade



23:30、夜行バスに乗り込みベオグラードに向けてナビパザルを出発。

国境で入国拒否されるのかを確かめてみようと思ったのが今日の
結果。ATMを過信しすぎ、まさか停電で町全てのATMが使えなくなる
とは想定の範囲外だった。

英語が話せる旅人が他にいれば、きっちり説明した上でお金を借りて
切符を買うこともできたかもしれない。そんな事を思いながら
バスの中で眠りについた。

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